音響機器各社、聴覚過敏当事者が利用しやすいイヤープラグ(耳栓)を相次ぎ発売

AT-ERP3、および音楽ライブ用イヤープラグ AT-ERP5
画像出典元:オーディオテクニカ

センサリーデザイン最前線 第75回

ライターの青いロクです。
聴覚過敏当事者にとって、騒音から守ってくれるイヤープラグ(耳栓)は心強い味方です。近年、イヤープラグに新規参入する音響機器メーカーが増えており、利用者としては選択肢が増えてありがたいです。今回の記事では、2026年5月時点でのイヤープラグの新製品、およびメーカーをそれぞれ簡単に紹介したいと思います。


 
 
用語説明
 
防音性能の指標として、SNR、NRRという基準があります。それぞれ単位はdB(デシベル)であり、数値が大きいほど防音性能があります。一般的には、電車・バス等の車内は70dB程度の騒音があると言われます。これに対し、住宅街は50dB、図書館は40dB程度だそうです。
もし電車の車内で、使用しているイヤープラグの防音性能が20dBあれば、住宅街程度の騒音にまで抑えられると考えてよいでしょう(ただし、イヤープラグの防音性能は全般的な音の周波数を考慮したものであり、走行音などの低音はあまり防げないこともありえます)。
なお、SNRがヨーロッパの基準、NRRがアメリカの基準であり、同等の種類の騒音について性能を調べたものですが、NRRの方が数値が低めになります。

 
 
オーディオテクニカ AT-ERP3 2026年3月発売
 

オーディオテクニカ (Audio-Technica) は、日本を代表する老舗の音響メーカーです。ヘッドホンやイヤホンだけでなく、レコードを聴くための針やプレーヤーでも世界的に有名です。
オーディオテクニカ AT-ERP3は、イヤホン用のイヤーピースでは穴が開いている部分がふさがっている、専用のイヤーピースを使うことで、装着感と衛生面に配慮しています。
防音性能としては、SNR 26dB、NRR 19dBとのことです。
長年のキャッチコピー”Always Listening”で知られたオーディオテクニカですが、その音響技術を活かし、“Always Safe Listening”という思想のもとにイヤーケア製品を提案しています。
メーカーHP:https://www.audio-technica.co.jp/product/AT-ERP3

 
 
ゼンハイザー SoundProtex Plus 2024年10月発売
 

ゼンハイザー (Sennheiser) は、80年の歴史を持つドイツのブランドです。音楽制作のプロが使う大きくて本格的なヘッドホンが有名で、音の味付けを変えずに「もとの音をありのまま再現する」ことを大切にしています。
イヤープラグ(耳栓)は大きく分けると、工場等での聴覚保護を純粋に目指すもの、音楽ライブ等を楽しむためのもの、そして日常の騒音から守るものといった分類があります。
この ゼンハイザー SoundProtex Plus は、音楽ライブを楽しむ用途も満たしながら、なおかつパーツの差し替えによって日常用としても役立つという特徴があります。
低音・中音・高音用のフィルター、および可能な限り音を排除する「フル・ブロックフィルター」から選んで、防音性を切り替えることができます。
スペックシートによれば Mid Filter(中音用フィルター?)使用時にSNR 17dB, NRR 10dBとのことです。フル・ブロックフィルター使用の場合はさらなる防音が期待できそうです。
メーカーHP:https://jp.sennheiser-hearing.com/ja/products/soundprotex-plus

 
 
エレコム エクリア イヤープラグ HCSL-EP01 2025年8月発売
 


画像出典元:エレコム

エレコム (ELECOM)は、パソコンのマウスやキーボードなどで国内最大手のメーカーです。近年は「エクリア」というブランドで、睡眠や健康をサポートする便利グッズを幅広く展開しており、その一環として耳栓も開発しています。
エクリア イヤープラグ HCSL-EP01は、薄型の設計により、就寝時に着用しても自然なイヤープラグです。つけはずししやすい形状のため、日常的な使用も快適そうです。
SNRやNRR等の遮音性能については非公表でした。
メーカーHP:https://www.elecom.co.jp/products/HCSL-EP01WH.html

 
 
ラディウス EP-D10CL 2025年6月発売
 


画像出典元:ラディウス

ラディウス (radius) は、スマートフォンで良い音を楽しむためのイヤホンやアクセサリーを専門にしている日本のメーカーです。独自のイヤーピース(ゴム部分)の作りには定評があるそうです。
ラディウス EP-D10CLも、エレコム イヤープラグ HCSL-EP01同様に、就寝時に邪魔にならない形状をまずアピールしています。
遮音性能は平均28dBとのことですが、測定方法は不明でした。
付属する「ディープマウントイヤーピース ZONE」はラディウスのイヤホン用のものと同じようなので、普段から同社のイヤホンを使う場合は部品を共用できるのは魅力です。
メーカーHP:https://www.radius.co.jp/products/ep-d10/

 
 
(先行製品)JVCケンウッド EP-S433 2021年発売
 

Victor EP-S433(筆者撮影)


以前 JVCケンウッドによるイヤープラグ EP-S433を紹介しました。
ワイヤレスイヤホン型耳栓 Victor EP-S433を比較・使用レビュー|TENTONTO
ワイヤレスイヤホンをより小型にしたような外見に、外音を減衰するための空間が設けられており、同クラスのイヤープラグでは遮音性能が高いものです。また、イヤーピースがJVCケンウッド他製品と共用できることも便利です。
メーカーHP:https://www.victor.jp/accessory/lineup/ep-s433/

 
 
まとめ
 
裏付けはないですが、いわゆる日常用の騒音を保護する耳栓は、LOOP イヤープラグ(2019年~日本で発売)や、JVC Ep-S433(2021年)が最初に参加して開拓し、その裾野は文具売り場で販売される「雑貨系」とでもいうべき安価なイヤープラグが広げてきたようです。
そのようなイヤープラグ市場の拡大と成熟を前提として、今回紹介したような、各音響機器メーカーによるイヤープラグ新製品が現れたという経緯かと、私は想像しています。

各製品、それぞれコンセプトは異なりながらも、外出時に好んでつけられるもの、そして就寝時にリラックスするために安らぎを感じるものといったように、意匠的にも工夫されています。

より多彩なイヤープラグが世に出て、光を調整する帽子やサングラス、視力を調整するメガネのように、イヤープラグ(耳栓)が日常であたりまえのものとなれば、聴覚過敏の当事者としても少しは楽になるかもと思いました。
 
 
青いロク
 
 
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