新連載:強迫めし おにぎり編

150620meshirogo

昔、人の家でご飯を食べるのがとても苦手だった。友達のお母さんが握ってくれたおにぎりを食べてえづいたりしていた。当時は随分失礼なことをしていたが、今では随分マシになって、人の家でも普通に食事ができるようになった。

最近になって、OCD(強迫性障害)という概念を知った。不衛生、毒物、尖端などを、極端に(人によっては生活に支障をきたすレベルで)恐れ、不安を感じてしまう障害を指す言葉だ。Seattle Children’sによれば、ASDをもつ子供はOCDも一緒に併せ持つ可能性があり、その割合はおよそ17%だという。OCDもまた「感覚の違い」がもたらす障害の一つだと言える。

先ほど挙げた、おにぎりを例にとって考えてみよう。おにぎりは、炊いたご飯を繰り返し握り固めて作る料理だ。当然、作る前には衛生のために手を石鹸で洗うのが普通である。だから、おにぎり自体はちっとも不潔じゃない。少なくとも、おにぎりを普通に作っただけで健康に影響が出るほど不潔なものができるとは考えにくい。だけど、怖いのだ。今でも時々怖く感じてしまう。不潔ではないと頭ではわかっているのに。

ここからは僕の推測だが、恐らく、ばい菌に感染するのを恐れているというよりは、おにぎりという物体が経ている過程を恐れてしまっていたのだろう。おにぎりを頬張るとき、炊きあがったご飯がお椀によそわれて、そのご飯が他人のお母さんの手のひらの上に移り、繰り返し握り固められる様子を想像してしまっていたのだ。さらに言うと、このときに使われるお椀やしゃもじがどういう場所に置かれているか、そういう所にまで想像が至ってしまって、グッタリしてしまうのだろう。

OCD(強迫性障害)と食事や料理の関係を語る新連載「強迫めし」。次回以降も、苦手な(どうしても、食べられない)食べ物とOCDとの関係について、海外ソースを基にして考えていきたいと思う。

Yutani