『発達障害のある人の就活成功バイブル』レビュー
この度幻冬舎メディアコンサルティング 様のご厚意により、11月11日に発売開始となった『発達障害のある人の就活成功バイブル』(小宮善継・著)をご献本いただきました。
これまでもTENTONTOでは、テントントさんがやってみたコトのコーナーや、発達障害者雇用問題を扱うBBCの番組についてなど、発達障害の当事者にとって大きなテーマ「仕事」についてご紹介してきました。本書籍は「就活」、つまり発達障害当事者と雇用について書かれたものとなります。
当事者向けの情報の多様性が比較的低い日本国内において、たいへん貴重なテーマを扱っている本かと思いますので、当サイトを通じてTENTONTO的視点でご紹介させていただきます。
本日から数回に分けて、TENTONTOメンバー複数人が本書籍のレビューをしていきます。本日の担当はTENTONTO公式キャラクター「んとんとちゃん」の作者、イラストレーターのmarfです。
発達障害のある人の「就活支援」を成功させるための本
文:marf
この書籍には、就労移行支援事業所といった福祉サービス事業を定める障害者総合支援法、2016年4月より施行される障害者差別解消法など、独力で調べるには億劫な最新の支援に関する情報が端的に書いてあります。
雇用主目線から見た発達障害当事者の社会に貢献できる能力について具体例が挙げられており、筆者の長年の経験を踏まえ、パソコン操作に詳しい被雇用者の育成に力を入れるべき、という主張が印象的でした。
一点気になったのは、全体に発達障害のある人の就活の「支援」を成功させるための取り組みに関する情報が中心となっているように感じたため、タイトルから受ける「本人が自力で就活を成功させるための本」という印象と少し異なっていたことです。
トラブルの原因の例、雇用主側からの率直な印象など、就労に関するリアルな実態が実情を知らない人向けに詳細に書かれているので、既に自身の性質に向き合いつつある当事者が読むと、つらい気持ちになるかもしれません。私は少し疲れてしまいました。
この本は客観的なので、就活に悩んでいる当事者が、第三者あるいは近親者に相談するときに、一緒に眺めたり、話題のきっかけにするのに良い本だと思います。コミュニケーションの苦手なアスペにとっては、情報の押さえどころがしっかりしているこの本は、よいコミュニケーションツールになるのではないでしょうか。
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