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CATEGORY: コラム

センサリーエッセー:こころの程度問題、どこから考える?

 
社会に生きる上での障害は程度問題なのだから、精神障害のひとつである発達障害も程度問題である。ただ精神がどんなものであるか、まだあまりわかっていない時代だからこそ、この程度問題は難しい。

研究者は今必死に研究しているし、社会の構成員も理解しようとしている。しかしまだ時間がかかる。だから発達障害に関することは、さっと解決してスッキリできないことである。つまり、苦渋である。

その本質から外れていない提案には実がある。センサリーデザインは感覚の程度問題を扱い、試みる。

耳元で羽虫が飛べば不快。例えばそんな感覚における個々人の程度問題を実際に捉えようとすること。そこから得られたものを基に設計を行ない、そのひとの「正常」を創る。そこから始めていくというアイデア。

それがセンサリーデザイン。
 
 
ユミズタキス

エトスとパトス―ASD・ADHD者の負う障害の正体

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価値を高める戦略、ブランディングの世界では、エトス(信頼・信用・人柄)パトス(共感・情熱・感情)という、古代ギリシア哲学の言葉がよく使われているようだ。アリストテレスの弁論術という本に載っている考え方で、エトスとパトス、そしてロゴス(論理)の3要素が、人に対する説得力を持たせるために必要という。 このエトスとパトス、発達障害当事者の抱える社会を生きる上での困難の一部分を表現しているようにも思う。

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マインクラフト×TENTONTOをフィールドワークする③ ―4人のマルチプレイについて伺うー

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こんにちは。TENTONTOメンバーのツダです。今回は、TENTONTO編集長ユミズタキスとメンバーmarf、そしてご友人おふたりの計4名による、半年間のサーバープレイについて伺ったお話について、ご紹介したいと思います。実際のプレイの内容についてはTENTONTOwebの記事でも以前に紹介されていますので、そちらもご覧ください。→ ASD&ADHD的マインクラフト実況!①

このインタビューに関しては今後の個人研究でより詳細に取り組んでいきたいと思っている内容でして、今回は印象に残っていることをいくつか述べてみる形で記事にしてみたいと思います。今回のお話は、パソコンの音声通話で4名に集まっていただき、プレイ時にいろいろな場面で撮影されたスクリーンショットを見せてもらいながら伺った内容になります。

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マインクラフト×TENTONTOをフィールドワークする② ―「ぜんざい作り」を考える―

こんにちは。TENTONTOメンバーのツダです。今回は、TENTONTOメンバーによるマインクラフトのプレイ動画の中から、私のお気に入りの一つをピックアップし、紹介していきたいと思います。

今回紹介するのは、前回も少し紹介しました【Minecraft】アスペとラッパー、ぜんざいを作るの回です。

このときはお正月ということで、雪の降る山間部に巨大なぜんざいを作ることを試みたこの企画。タキスとYutaniのプレイ中の姿を見て、マインクラフトってこういうものだよなあ・・・と思わせられる瞬間がいくつも現れてきます。以下、簡単な動画のハイライトです。
 
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『NHK自閉症アバターの世界』再放送中です

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画像出典元:NHKオンライン 様 http://www.nhk.or.jp/

編集長のユミズです。センサリーデザイン最前線第40回第50回でご紹介した池上英子教授の研究を題材にしたドキュメンタリー『NHK自閉症アバターの世界』の再放送がただいま行われていますので、本日はそのお知らせです。
 
自閉症アバターの世界 第1夜 脳内への旅
2018年9月5日(水) 午後8時00分 〜 午後8時30分
2018年9月12日(水) 午後1時05分 〜 午後1時35分

自閉症アバターの世界 第2夜 仮想と現実を生きる
2018年9月6日(木) 午後8時00分 〜 午後8時30分
2018年9月13日(木) 午後1時05分 〜 午後1時35分

仮想世界での人のコミュニケーションについて研究されているアメリカ在住の池上教授が、『セカンドライフ』内の自閉症者グループにて交流のあった人々へ会いに行く、という内容になっています。ニューロダイバーシティの観点から、自閉症当事者のコミュニケーションの有り様について考えを深められる番組構成。当事者が自分の感覚の違いに向き合っている姿がリアルに描かれています。

アメリカの発達障害当事者を取り巻く現状も知ることができる、貴重な映像となっています。同じくアメリカが舞台で2018年9月7日公開予定の映画『500ページの夢の束』の予習として観るのもオススメです。
詳細はNHKハートネットTVのWebサイトをご覧下さい。

https://www.nhk.or.jp/heart-net/program/heart-net/194/

https://www.nhk.or.jp/heart-net/program/heart-net/268/
 
ユミズタキス

マインクラフト×TENTONTOをフィールドワークする①

こんにちは、TENTONTO新メンバーのツダです。今年5月ごろからメンバーとして参加しつつ、現在の私の所属である文化人類学修士課程での研究の一環として、TENTONTOにてフィールド調査をさせていただいています。現在TENTONTOの活動が様々な方向へと広がっている中で、そのひとつとして私の試みもこの場で紹介させていただきます。

私はマインクラフト(及びセカンドライフなどのヴァーチャル環境やゲーム)においての「作ること」を研究テーマとしています。その中でも、発達障害をもつ当事者がどのように作ることを実践し、生活の一部としているかについて、特に関心を持っています。
TENTONTOはその活動の中で、ゲーム『マインクラフト』のセンサリーについてとても早くから注目をしている団体でした。編集長ユミズタキスとYutaniは一連の動画シリーズを投稿しています。(私のお気に入りは、「ぜんざい」回です。)

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センサリーとゲーム体験

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編集長のユミズです。本日は、個人的に開発に2年間関わってきたゲーム『エヴェレット・エフェクト』が今週末に発売となるためその告知と、ゲーム体験のもつ発達当事者にとってのセンサリー(感覚的な居心地の良さ)について書かせていただきたいと思います。

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進むほど 達成 から遠ざかる

達成に近づくために物事を進めるものなのだと思う。

しかし達成の距離が遠すぎるのか

進めれば進めるほど、”達成”に逃げられる。

この前、私は掃除に逃げられた。

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左と右がわからない毎日

左と右。

誰が決めたのかはわからないが、この概念によってちょっぴり苦しむ人がいる。

  • とっさに左か右かを言われても判断できかねる
  • こちらが説明をする際に、左右を正確に案内できない

この症状には名前があり、”左右盲”と呼ばれているようだ。

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人の気持ちを想像できないなりに2

先週に続いて、ASD傾向がありながら少しそれともズレた私の道徳観念について、思索を深めながら書いてみたいと思う。

私の中では、してはいけないことの基準はある程度ハッキリとしている。それは、本人またはそのものの由来に責任がないところへの侵害、誹謗中傷といった類の暴力行為だ。ざっくり言うと国籍、人種、性差、障害、容姿、文化などへの差別や、不慮の事態、災害に見舞われた人の神経を逆撫でするような行為などが該当する。
 
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