テントントなスラング:tilt

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TENTONTOエンタメ部 第89回

こんにちは。TENTONTOメンバーのYutaniです。

エンタメ部のコーナーでは、英語のスラング(隠語)をキーワードに、多くの人と感覚の違いをもって暮らす人=テントントさんのライフスタイルについて考えてみる企画をお送りしています。題して、「テントントなスラング」

チェスMinecraftどうぶつの森プリパラポケモン…など、TENTONTOではこれまで様々な、ゲームプレイに関する記事をお届けしてきました(ちなみに、ゲームの製作もしました。気になる方は『あすぺるうが』をチェックしてみてください!)。今回ご紹介するのは、そんなゲームに関するスラングです。

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【tilt/名詞/カードゲームなどで心理が動揺している状態、またはピンボールの技および反則】

tilt(ティルト)「傾く・傾ける」という意味の動詞。スラング的には、上でご紹介したような二つの意味で使われることが多いようです。この二つの「ティルト」はどちらも、それぞれ「カードゲーム」と「ピンボール」というゲームをプレイしている最中の状態や、行動を指すスラングとなっています。今回は前者のカードゲームで使われるスラングについてお話します。

カードゲームでのtiltは、元々はトランプのポーカーの用語で、「ゲームプレイ中、心理的、感情的に動揺してしまい、冷静な判断ができなくなってしまうこと」を意味します。「ポーカーフェイス」という言葉で表現されるような、ポーカーをプレイするときに求められる精神状態とは、まるで真逆のもの、ということになるでしょう。

この「ティルト」は、カードゲーム全般において使われることが多いようで、世界的にプレイ人口の多いトレーディングカードゲーム・マジック:ザ・ギャザリング(MTG)のプレイヤー間でも常用されています。MTGの公式Youtubeチャンネルで公開されている人気の動画シリーズ・”Walking the Planes”の第24話では、「ティルト」に陥る怖さ、それを乗り越える方法について、ユーモラスに伝えています。

リラックスさせてくれるもの、創る喜びや、「戦い」の楽しさを味わうもの…一口にゲームと言っても、様々なタイプのものがあります。そんなゲームと当事者との関係のあり方について、TENTONTOのwebサイトやフリーペーパーでは、度々取り上げてきました。

フリーペーパーno.5の記事「アスペと一年間マイクラ実況やってみた。」で、僕はBAPという立場から、アスペ(ASD)当事者とゲームで遊んでいるときに起こる「気持ちのギクシャク」について書きました。当事者の方とゲームで遊んでいると、意思疎通や言葉のやり取りの上でギクシャクとした雰囲気になってしまうことが少なくありません。それは勝ち負けがハッキリ決まる対戦ゲームに限らず、例えばMinecraftのような、「作って楽しむ」系のゲームを遊んでいるときにも当てはまります。ゲームとは「楽しむためのもの」「暇つぶしのためのもの」だと捉えている非ASD者(定型発達者)の方は多いと思います。しかし多くのASD当事者にとって、ゲームとは「『ガチ』でチャレンジし、喜びを掴むためのもの」なのではないかと、僕は日々当事者と接する中で考えています。

ゲームで遊んでいると、負けてしまったり、「意地悪な」戦略を取られたりして、頭に来たり悔しい気持ちになってしまうことは、往々にしてあります。ですがゲームをプレイする上では、そうした辛い気持ちは悪いものでは決してないと、最近は感じています。マイナスな感情をバネにしてゲームで勝利できたり、ひいては自身の精神的な成長に繋がることもあると思うのです。「マイナスな精神状態になっている自分をメタに認知し、そこから前へと進んでいこう」という意思を持つとき、tiltという言葉が役に立ってくれるのでは…。「ギャザ」プレイヤーへのインタビューの様子を上の動画で観ながら、僕はそんなことを考えました。

 

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Yutani(ユタニ)
1992年生の男。ライター/MC/ゲーム実況者。ポケモン好き。
時に「ティルト」しつつも、ポケモンバトルで楽しく遊んでます。
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