WEAR SPACE レビュー③ コロナ下におけるオフィス勤務での使用感について

全体
ライターの青いロクです。6月末に”集中力を高めるウェアラブル端末”WEAR SPACEのレビュー( 第1回第2回 )を投稿しました。その後の使用状況、使用感について、改めてご紹介したいと思います。

前回までの記事のおさらい

WEAR SPACE(公式サイト)は、パナソニック アプライアンス社デザインセンター FUTURE LIFE FACTORYにより企画・デザインされ、Shiftallにより設計・製造・販売されるウェアラブル端末です。騒音を防ぐノイズキャンセリングヘッドホンと、視界を調整できるパーテーションがひとつになっています。

TENTONTOは、2018年6月にこちらの製品の製品化プロジェクトが準備中であることを知りました。そして、視覚や聴覚刺激に過敏な発達障害者の生活に役立つ、ひとりひとりの感覚の違いに配慮した器具(センサリーなデバイス)として、期待を込めWEB記事にてご紹介しました( 発達障害当事者はウェアラブルデバイス「WEAR SPACE」の癒やしを体験するか|tentonto

また、FUTURE LIFE FACTORY様へコンタクトを取り、発達障害当事者メンバーによる体験会の様子を、製品化プロジェクト発表時のプレゼンテーション映像として採用いただくなど、プロジェクトをボランティアとして応援しました。
・プレゼンテーション映像( WEAR SPACE体験会 with TENTONTO -FUTURE LIFE FACTORY by Panasonic Design-|youtube
・TENTONTOによる、発達障害関係者の反響のTogetterまとめ(パナソニック「WEAR SPACE」に #発達障害 関係者の多くが期待。12/11までクラウドファンディング中|togetter
・WEAR SPACEを使用した映画鑑賞会( WEAR SPACEを使用した映画鑑賞「センサリーフレンドリー上映会」を実施しました|公式サイト
, WEAR SPACEで映画鑑賞体験―発達障害当事者レビュー|tentonto

2018年12月にクラウドファンディングの目標金額を達成し、2020年6月に購入した製品が手元にとどき、私にて取り急ぎ感想を紹介しました。(第1回第2回)当時は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大による緊急事態宣言が解除されてから まだ1ヶ月ほど。私は主に在宅勤務で働いていて、その環境での感想となりました。

最近の就業環境

今回は、主にオフィスでWEAR SPACEを使用した場合の感想を、防音イヤーマフ等の他の器具との比較も併せてご紹介します。

10月も終わりますが、東京では感染者数が下げ止まらず、私が働く会社では引き続き在宅勤務を推奨しています。オフィスへの出社率は全体の半分程度か、それ以下で推移しています。

その一方、オフィスの設備を使用した方が効率がよい業務内容も当然あります。自社は時差出勤など感染拡大を予防する対策をし、在宅勤務とオフィス出社での勤務を使い分ける形で、緊急事態宣言下やその直後よりは柔軟に対応できています。

ここ数か月の私も、半分程度ずつ在宅とオフィス出社を使い分けています。ただし、在宅とオフィスを頻繁に切り替えるような働き方ではなく、数日か1週間程度ずつ続けて在宅、オフィス出社を切り替えています。

主な理由としては、パソコンや図面等の仕事道具が重くてかさばり、在宅とオフィスを切り替えるたびに持ち帰り、持ち込みするのが負担なためです。

WEAR SPACEのオフィスでの使用

あらかじめ人事部には話を通していたものの、直接の上司にはWEAR SPACEの使用について確認していなかったのですが、聞いてみたところ問題なく許可が下りました。

ただ、主に窓から入る光の眩しさを防ぐものと勘違いされてしまいました。人の動きなどの視覚的刺激に過敏であることはなかなか説明が難しいものです。

実際使用してみた感想を簡潔に述べると、以下のようになります。

  • 視覚的ノイズを遮る効果は、隣席がまったく気にならないほど
  • 人の声や電話の声は、3Mのイヤーマフ(H540A)に比べてあまりさえぎらない
  • マスクとWEAR SPACEを同時に着用していると、水分補給などでの付け外しが手間取る
  • (前回レビューでも記載した通り)頻繁に持ち運ぶことを想定したものではなさそうで、在宅かオフィスかどちらか一方で使うのが無難そう

視覚的ノイズを遮る効果

視界を遮る機能については、前回のレビューで紹介しましたが、オフィス内でも同様に役立ちました。隣席の様子が気にならなくなるほどで、効率が上がりそうです。

在宅とオフィス勤務でパソコンモニターの大きさや位置関係が大きく違う場合(たとえば在宅では1台で、オフィスでは2台横に並べて使うなど)パーテーションでさえぎる範囲を調整しなおす必要があるので、そこは注意が必要そうでした。

電話の声の防音効果

前回レビューでは、WEAR SPACEは空調の音をよく防ぎ、在宅勤務する上でとても助かったことを紹介しました。しかしオフィスでは発生する騒音の種類が異なり、私にとって、最も苦しいのは周囲の電話の声や同僚同士がしゃべる声だと思っています。

WEAR SPACEは密閉型のノイズキャンセリングヘッドホンとして一般的な防音効果があるようですが、防音イヤーマフの方がさらに音を防げるため、私の就業環境では防音イヤーマフがより適切だと感じました。

マスク着用との干渉

WEAR SPACEは、防音イヤーマフと同様に、耳にかけて固定しますが、WEAR SPACEは柔らかい部分の多い構造で、付け外しの際のフィッティングの手間がより多く感じます。

オフィスでは、出社率は低いとはいえ、近くに同僚がいる環境で働くため、出社中はマスクを着用するよう会社から指示されています。例えば水分補給する際に、WEAR SPACEを外し、マスクを外しますが、付け外しが負担に感じました。

その一方で、視界を遮るフードを備えたメガネ Zoff+集中( 8月末にサイズバリエーションを増やして再販されました )と比較した場合は、マスクから出る息でメガネのガラス面が曇る心配が全くなく、その点ではWEAR SPACEの方がマスクと併用するには好ましいと感じました。

WEAR SPACEの持ち運び

先に述べたように、そもそも在宅とオフィス勤務を切り替える際の荷物が多くなっています。そのため、パソコンなどに加えWEAR SPACEも毎回持ち帰り、持ち込みするのはとても負担に感じました。

特に朝の通勤電車は、時差出勤しても混雑する区間があるので、傷つけずに運ぶには困難に感じました。

まとめ

前回レビューで述べた通り、”コロナ禍”以前には、WEAR SPACEの使用環境としてオフィスを想定していました。マスクとの干渉や、在宅勤務とオフィス出社を切り替える際に運ぶのが負担であることなど、コロナ禍以前に想定できなかった要素も関係しましたが、より効果を感じられる在宅勤務で確実に使えることを優先し、私は自宅での使用を主とすることになりました。

いずれにせよ、自分にとってWEAR SPACEが在宅勤務に欠かせないものとなっているための判断です。

今後も、感染拡大予防や、業務効率向上・オフィス面積の有効活用のため、就業環境が変わっていく可能性があるため、その都度WEAR SPACEの新しい活用方法がないか模索していきたく思います。
 
 
青いロク