ディスプレイ業大手 乃村工藝社、センサリールームの調査・研究を開始

ライターの青いロクです。昨月28日のニュースリリースによると、大手ディスプレイデザイン会社の乃村工藝社が、筑波大学・佐々木准教授と協力して福岡PayPayドームにて「センサリールーム」の利用環境を調査したようです。国内のディスプレイ業大手がセンサリールームを研究テーマとして公表するのは、おそらく初めてのことです。

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画像出典元:乃村工藝社 https://www.nomurakougei.co.jp/

ニュースリリース(乃村工藝社のソーシャルグッド活動:福岡PayPayドームにて「センサリールーム」トライアルイベントを実施しました|株式会社乃村工藝社 )によると、乃村工藝社と筑波大学・佐々木准教授は、福岡ソフトバンクホークスの協力のもと福岡PayPayドームのVIPルームの提供を受けて「センサリールーム」を設置、3日間のイベントとして感覚過敏の特性がある子どもとその家族に利用してもらったとのこと。『部屋の照度を抑える工夫』や『手足に触れる感覚を調節』について調査したそうです。

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体験用のセンサリーグッズ 画像出典元:乃村工藝社 https://www.nomurakougei.co.jp/

写真では、マット、クッションがあり、これらで手足に触れる感覚を調節した場合について調査したと思われます。また簡易テントは休憩場所として用いられるのかもしれません。

ニュースリリースの最後には、乃村工藝社はセンサリールームや、「センサリーフレンドリー」な空間について調査研究を続ける、と記述があります。このテーマに意欲的に取り組む姿勢を感じました。

 
乃村工藝社は、主に企業や国・公共団体向けのビジネスを行うため、一般には聞き慣れない会社かと思います。私もデザインを学ぶまでは知りませんでした。この会社は、芝居の大道具業を前身とし、1942年に設立されました。店舗、博覧会、催事といった空間を手掛ける、ディスプレイ業界に属しています。業界内では、乃村工藝社・丹青社の2社は企業規模において抜きんでています。
代表的実績としては、1970年の大阪万博や、2005年の愛知万博といった、国際的なイベントでのパビリオンの展示制作が挙げられます。また、博物館などの文化施設や、高級ホテルやブティックといった店舗も多く手掛けています。

乃村工藝社|wikipedia
実績紹介 | 株式会社乃村工藝社

 
業界のリーディング企業である乃村工藝社が「センサリーフレンドリー」な空間、そしてセンサリーデザインについて直接関わり、今後も調査研究を深めていくというニュースでしたが、私自身、一人の業界関係者としてこの上なく心強く思いました。
多くのクライアント(店舗や施設の所有者)にとって、感覚の違いに対する配慮は、例えば環境問題への配慮といった他テーマと比較した場合に、認知度が低い印象を持っているためです。

2025年の大阪・関西万博、あるいはまた別の機会かもしれませんが、研究成果を反映した、効果的な照明・音響や手触りの裏付けがあるセンサリールームが実現する日がとても楽しみです。もちろん、デザインについても完成度が高いものとなることを信じています。引き続き、動向を注視して行きたいと思います。
 
 
青いロク

 
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