テントントなスラング:guesswork

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TENTONTOエンタメ部 第59回

こんにちは。TENTONTOメンバーのYutaniです。

エンタメ部のコーナーでは、海外のスラング(隠語)や英単語をキーワードに、多くの人と感覚の違いをもって暮らす人=テントントさんの生活について考えてみる企画をお送りしています。題して、「テントントなスラング」

前回から久しぶりの更新。今回紹介するのは、広告や宣伝文の中によく登場する英単語です。

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【guesswork / 名詞 / 当て推量、ヤマ勘、当てずっぽう。】

“guess(推測する)”“work(動く、働く)”を合わせて、“guesswork”。「推測しながら行動したり、働く」というニュアンスで、「当て推量」「ヤマ勘」「当てずっぽう」といった意味で使われる英単語です。

この言葉、英語圏では“take the guesswork out of  ~(~から当てずっぽうをなくす)”という熟語の形で用いられることが多いようです。調べた限りだと、商品・サービスの広告や宣伝文句の中に、この熟語がよく登場します。

例えば、データ集計の仕事を効率化するパソコンのソフトウェアの宣伝として、「このソフトは、データ集計の仕事から当てずっぽうをなくします」といった風に。ある仕事をする上で、不確定な要素やいい加減さを排除する・ある仕事を正確かつ確実に完了できるようにする、というニュアンスですね。

僕は、自閉的感覚の一部をもつBAP(幅広い自閉症の表現型)の該当者ですが、自分の中のアスペ的な感覚と照らし合わせると、なんともカッチリと心地よく、思わず魅力的に聞こえてしまう宣伝文句だと感じました。というのも、日常会話や仕事のやり取りといった場面で、“guesswork”的な行動を求められる場面は、実はかなり多いのではないか。この言葉を知ったとき、僕はそう感じたからです。

先日、TENTONTO必修わ~どのコーナーでお伝えした内容を例に考えてみると、「この写真見てよ」という問い掛けに求められているのは、「写真の表側、友達がディズニーランドで楽しく過ごす様子を見て、『楽しそうだね』と相づちを打つ」ことです。この状況を整理すると、相手の『楽しかった経験を共有したい思い』という文脈があった上で、それを暗黙のうちに推しはかり、然るべき反応をすることが求められている場面と言えます。その複雑な要求を「当てずっぽう」で解くことは、ASD者にとって困難なことです。

このように、非アスペの人の間では、「”guesswork”を行うことができる」ということをもってある種の「連帯感」を得ることが、日常的に行われているように思います。文脈盲であるASD当事者は、そこに潜んだ文脈を読み取ることができず、求められた“guesswork”から「ズレた」行動を取ってしまい、周りからネガティブな反応を受けることもしばしば。BAPの僕にも思い当たる経験があります。「日常会話から当てずっぽうをなくす」、上手い方法があればいいのにな、なんて。

 

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Yutani(ユタニ)
カレーの「エチオピア」と映画館を往復する生活を送りたい。
趣味はプリパラ・映画鑑賞・フリースタイルラップ。
プリパラでお気に入りのアイテムはオータムドリームパレードドレス。
近年の好きな映画は「チャッピー」と「たまこラブストーリー」。