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コラム:発達障害者も住みよい「暮らすプロダクト」のデザインについて考えてみた

 
この間、駅のホームで高級寝台列車が停まっているのを見かけました。見るからにお金のかかった外装のデザイン。きっと特別なときに乗るのでしょう。

そういう寝台列車ではないですが、私も寝台列車に乗ったことがあります。駅のホームから電車に乗って自分のコンパートメントに入ると、駅での雑踏から一転、こじんまりとして自分だけの空間という感じがします。そのときは造り付けの寝具でダニにくわれて大変な思いをしたのですが、空間としては好ましいなと感じたのを覚えています。
 
 
公共の場において個人的なスペースが得られることの価値も高いものがありますが、雑踏の感覚刺激に非常に疲れてしまいやすい発達障害の当事者としては、公共の場を通り過ぎずに個人的なスペースに居るまま移動できる自家用車は、かなり快適だったりします。

それの究極に快適な形、キャンピングカーのような空間プロダクトは、当事者として落ち着ける場所の代表なのかもしれない、とも思います。
 
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ウォルマート 米全店で毎日「センサリーフレンドリーな時間帯」がスタート

画像出典元:Walmart https://corporate.walmart.com/
 
ライターの青いロクです。これまでTENTONTOでは「クワイエットアワー」という、お店の照明のまぶしさを減らしたり、音楽を鳴らさなくしたりして、発達障害者が買い物しやすい環境にする取り組みを紹介してきました。音や光について感覚過敏がある子どもを連れた家族や、当事者が買い物しやすくなる時間帯を設けるものです。

先んじて取り組みが広がっていた海外では、クワイエットアワーと同等の「センサリーフレンドリーな時間帯」を、最大手企業 ウォルマート(Walmart)が、2023年11月から毎日行うようになりました。衣食住全般を扱う大規模店舗だけでも米国内で約3600店舗が対象であり、実施店舗数や頻度において、クワイエットアワーの取り組みとしては過去最大規模と思われます。今のところ終了期間は発表されておらず、今後継続して実施される見込みです。

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寂しがりじゃないことが障害になる?~カロポタと私~

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発達障害からくるハイポな感覚の違いからか、私は基本的に一般と比較してかなり我慢強い傾向があり、それもあってあまり寂しいと思わない傾向があると思います。
例えば、口寂しいに関する食事のことです。かなりお腹が減ったり喉が渇いても耐えられたりするため、本人としては意識して食べるようにしています。

しかしこの意識は充分だったのかと、ふと思い立ちました。
本人としては健康ではあるものの、通常の感覚でいえばギリギリのところで食べたり飲んでいるにすぎず、そう考えると定型者との感覚の差が広がるばかりで、だからこそもっと多く摂ってもいいのかもしれない、と。
そこでカロリーを摂る生活を近頃はじめてみています。
 
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「ヒトはそれを『発達障害』と名づけました」を読んで。

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以前、Twitterでイラストを見かけたことがあったこの作品。今回は書籍版が出たということで、電子書籍版を購入して読んでみた。
https://www.kanekoshobo.co.jp/book/b605783.html

なお、本書のカラー漫画は筑波大学DACセンターのWEBサイトでも公開しているので、広くいろいろな人が読めるようになっている。
https://dac.tsukuba.ac.jp/radd/joint-base/manga/
https://dac.tsukuba.ac.jp/radd/wp/wp-content/uploads/digitalbook/jp/
 
 
ここからは、当事者のひとりでもある私が読んで感じたことを述べてみたい。

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クワイエットアワー、さいたま水族館で試験導入―県内各施設で導入検討も

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画像出典元:東京すくすく https://sukusuku.tokyo-np.co.jp/

今月中旬、さいたま水族館にて試験的に「クワイエットアワー」が開催されました。これまでもTENTONTOでは「クワイエットアワー」に関する国内外の事例をご紹介してきましたが、日本各地で導入の動きが少しずつ盛んになっています。今回実施された際の利用者の反応など、詳細についてはこちらをご覧ください。

さいたま水族館で「クワイエットアワー」 感覚過敏の子どもに配慮して音声なし、照明も調整 – 東京すくすく

光や音量抑える「クワイエットアワー」埼玉で試験導入 – 日本経済新聞

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終わりゆくサービスを見つめながら

 
外出自粛生活も2年と4ヶ月ほどになり、すっかり家から出ずに生活できるようになってしまった。最近はまた感染者も増えてきて、住んでいる地域で予約が始まり次第、ワクチンを早く打ちに行きたいと思っている。そんな折、便利な生活を支えてくれていたあのセンサリーなサービスがもうすぐ終わるという。

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画像出典元:Amazon https://www.amazon.co.jp/

Amazonパントリー
規定の箱(パントリーボックス)に収まる範囲でいろいろな商品を詰めて注文できるサービス。

通販といえば送料がかかるので、同じ商品の箱買いになりがちなところを、一回につきバラで色々と買えるところが魅力だ。家から近所のスーパーは微妙な距離にあるので、疲れやすい私はかさばる日用品を買うのに以前から利用していた。生鮮食品などは選べないが、レトルトカレーなどはもちろん、うまく選べば水で戻す野菜や豆、ささみ肉、豆腐といったパック品を揃えられる。もちろんカップラーメンやお菓子などの食品も買える。ほぼネットスーパーのように利用できて、このところは重宝していた。

また、Amazonは「置き配」ができるので、受け取るためにコミュニケーションをしなくて良いところが、人と話すのが苦手な私としては大変気に入っている。ドア前に置かれている箱を家の中に運び込む度、PS4ゲーム『DEATH STRANDING』の世界の住人になったような感覚を味わっている。BT(DEATH STRANDINGにおける正体不明の怪物)ならぬウィルスから逃れる生活は、ポーター(配送人)達の助けなくして成立しない。

このお知らせを目にしたとき、「ああ、コロナ禍で、わたしのような使い方をする人が増えて、負担をかけてしまったのかもしれない」と思った。道具しかり、サービスしかり、想定された使い方をしないために使えなくなってしまう、というのは、便利なものほどありがちなことのひとつだ。

サービス終了まであと1ヶ月弱。これに代わるサービスが見つけられるだろうか、というのが、小さいようで重要な生活の悩みである。
 
 
marf

トラブルメーカー、かく考える

 
こんにちは。テントントメンバーのTEHOです。今日は最近私が引き起こした職場でのトラブルについて、お話ししてみたいと思います。
 
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センサリーを聴く:Session Victim – Made Me Fly

Session Victim

Session Victim『Made Me Fly with Beth Hirsch』

5年前、「あすぺるうが」というゲームを作った。このミュージック・ビデオはその雰囲気に似ているね、と、原と話す。あの頃よりずっと、熱心に音楽を聴くようになった。ゼンハイザーのHD25と一緒に、今日もセンサリーな自由のあるヒトの在り方への創作的思索を深める。センスの力を集めて、必要なときにできることを、もっとできるようになるために。

 
 
ユミズタキス

センサリーを聴く:Yaeji – WAKING UP DOWN

Yaeji

Yaeji『WAKING UP DOWN』

パンデミックの時代のフラット化した生活サイクルの中では、最も平凡なことでさえも困難な作業のように感じることがある。

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センサリーエッセー:匂いを感じるのが辛いときがある

 
8月の終わりのとても暑い日に、私は引越しをした。環境の変化を一番如実に感じるのは、私にとっては匂いの変化だ。内見で初めて部屋に入ったとき、ユニットバスの扉を開けたとき、居室の押し入れを開けたとき。それぞれ違う、未経験の匂いを嗅いだときの心持ちとしては、新しい環境に住まいを移すワクワクした気持ちよりも、不安感の方が勝っていた。

ASD+ADD傾向のある私は、匂いが原因で食べられないものがあるなど、以前から自分の嗅覚の特性に気づいてはいたが、今回は引越し作業の焦燥感もあって、文字通りに「臭いものに蓋」をしてしまっていたと思う。

少しでも嗅ぎなれた感じに近付けたくて、入居開始日にドラッグストアで消臭剤を探した。6つくらいの中から、一番無難な気がした「石けんの香り」を選んで、部屋に放置してその日は帰った。一週間後、旧居の退去日。荷物を積んだ車で乗り付けて、新居のドアを開けた瞬間に、なんだか小綺麗な公衆トイレのような香りがした。消臭剤選びに失敗したと思った。
 
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