ASD & ADHD MAGAZINE TENTONTO 公式サイト

TENTONTOweb

TAG: ASD

落ち着け!~『ペルソナ4』が教えてくれた、発達障害者の役割~

archive_title_pkg_444x444_p4

画像出典元:アトラス公式サイト https://www.atlus.co.jp/

※このコラムにはアトラスのゲーム・アニメ作品『ペルソナ4』に関するネタバレが含まれています。面白さを損なうおそれがあるため、プレイ済みの方、またはネタバレを気にしない方のみご覧ください。
 
 
アスペルガー症候群の主人公を描くラブコメディー映画『シンプル・シモン』。フリーペーパーTENTONTOno.1で取り上げ、このwebでも何度も紹介してきた作品ですが、この映画の原題(スウェーデン語のタイトル)をご存知でしょうか?

実は『宇宙に感情は存在しない(I rymden finns inga känslor)』というタイトルがついています。このタイトルの意味するところは映画をみていただくとして、アスペルガー症候群はじめ、ASD(自閉症スペクトラム障害)をもつ人々を多くの人目線で捉えたとき、感情が存在しない、と頑なになっているような印象を与えることはよくあるのではないか?と思います。

 
実際にはメルトダウンといって、幼少期には特に激しい感情の暴走をひんぱんに引き起こすASD当事者。大人になるにつれ、自立がかなえば自主的に環境を選べるため、メルトダウンの機会は減り、自閉的と呼ばれる物静かな状態が多くを占めるようになってきます。そうすると今度はメルトダウンと別の対人コミュニケーション上の問題が生じます。「コイツは人間らしい感情を持っているのか?」という多くの人側からの疑念と、「どうやら多くの人はうっとうしいほどに感情に満ちているらしい」という当事者の心理からくる厭世的な感覚といった問題です。

 
さて、当事者はメルトダウンを多く経験して成長していくので、メルトダウンによって醜態をさらすことに非常に嫌悪感があります。そのため、落ち着けるように環境を整備して、安静に思考、行動できるようにしていくことがTENTONTOで紹介している『センサリーデザイン』というわけですが、上記のような問題もあらたに表れてくることもあります。では、そんな当事者をどのようにサポートできるでしょうか?

続きを読む »

オリジナルに過ごすね

20190429_1
よくホテルのドアノブにかかっている”Don’t disturb”の札。
わたしは一人の時間をこよなく愛しているので寝る時間以外もずーっとこの札をかけていたい。とはいえ「じゃましないで」と主張し続けるのも人当たりが悪いかもなぁと少し気にしていた。

あるとき代表のタキス氏と話していて発生したのがこちらの言い回し。

20190429_2

続きを読む »

TOTO、発達障害者が公共トイレで困ることを調査

mod_contents_section05_img5

画像出典元:UD Style https://jp.toto.com/ud/

TOTO株式会社のユニバーサルデザインについての特設サイト「UD Style」において、発達障害当事者や保護者が公共のトイレを利用する際に戸惑うことについて、課題と解決策を伺う座談会形式のコラムが掲載されています。

座談会企画:発達障がいを“手がかり”として、すべての人に使いやすいトイレを考える | UD Style TOTOのユニバーサルデザイン | TOTO
 

座談会では、国立重度知的障害者総合施設「のぞみの園」の日詰正文氏、一般社団法人日本発達障害ネットワーク(JDDnet) 元事務局長の橋口亜希子氏が、インタビュアーからの質問に答える形式です。

続きを読む »

センサリーエッセー:こころの程度問題、どこから考える?

 
社会に生きる上での障害は程度問題なのだから、精神障害のひとつである発達障害も程度問題である。ただ精神がどんなものであるか、まだあまりわかっていない時代だからこそ、この程度問題は難しい。

研究者は今必死に研究しているし、社会の構成員も理解しようとしている。しかしまだ時間がかかる。だから発達障害に関することは、さっと解決してスッキリできないことである。つまり、苦渋である。

その本質から外れていない提案には実がある。センサリーデザインは感覚の程度問題を扱い、試みる。

耳元で羽虫が飛べば不快。例えばそんな感覚における個々人の程度問題を実際に捉えようとすること。そこから得られたものを基に設計を行ない、そのひとの「正常」を創る。そこから始めていくというアイデア。

それがセンサリーデザイン。
 
 
ユミズタキス

『自閉症という知性』レビュー2

book-ikegami

画像出典元:NHK出版 https://www.nhk-book.co.jp/

こんばんは。編集長のmarfです。この度、センサリーデザイン最前線第40回第50回でご紹介した池上英子教授のご厚意により、2019年3月11日に発売となった『自閉症という知性』(NHK出版新書 580)をご献本いただきました。

池上教授が4人の自閉症スペクトラム当事者との交流を経て書かれた本作。TENTONTOでは数回に分けて、本書籍のレビューをお届けします。前回に引き続き、ユミズがレビューします。
 
 
『自閉症という知性』レビュー
文:ユミズタキス

・第1章を読んで
NHK「自閉症アバターの世界」でも取り上げられた、セカンドライフ上で自己実現を図るラレさんに迫る。ゲームをつくったりするぼくからすれば、ラレさんのやっていることをゲームにして、お金を払って誰もが楽しめるようになればいいのに、と思うけれど、ラレさんはどう考えるのだろうか。

続きを読む »

『自閉症という知性』レビュー

book-ikegami

画像出典元:NHK出版 https://www.nhk-book.co.jp/

こんばんは。編集長のmarfです。この度、センサリーデザイン最前線第40回第50回でご紹介した池上英子教授のご厚意により、2019年3月11日に発売となった『自閉症という知性』(NHK出版新書 580)をご献本いただきました。

池上教授が4人の自閉症当事者との交流を経て書かれた本作。TENTONTOでは数回に分けて、本書籍のレビューをお届けします。
 
 
『自閉症という知性』レビュー
文:ユミズタキス

・ぱっと読んでみて
ぼくも本書で語られている当事者らと同じく、経済的に有利になる機会を度々放棄してまで、自身の肉体と精神を組み替えるような奇妙な術を時間をかけて開発してきた。この推理と試験を重ねて作られた痛ましいノウハウの数々は、多くの人からみて快適さからかけ離れた見栄えをしていると知っている。だから口外を避ける。

続きを読む »

外から内からよりそうこと

sensory_design

ユミズ タキス 作

ギフテッド教育への興味に端を発して、Szondiを読みに国会図書館へ行きました。(編集長)

映画「描きたい、が止まらない」上映中です&トークショー行ってきました

TENTONTOメンバーのTEHOです。本日より公開のドキュメンタリー映画「描きたい、が止まらない」。アウトサイダーアーティストの発達障害(自閉症スペクトラム)当事者を追うこの邦画を鑑賞してきました。また東中野にて、公開記念イベントのアーティスト本人によるトークショーにも参加してきました。
 
続きを読む »

センサリーを聴く:Letherette – ‘SAE’

Letherette

発達障害という精神の障害。趣味嗜好の偏りや強迫性、感覚の過敏がみられることも多い当事者の思考回路に、もし非当事者がダイブできるのなら。その特異な精神世界を伝えるような芸術表現を探すコーナー

明滅。回転。残響音。光に対する感受性。

ユミズタキス

【関連記事】
センサリーを聴く:Without You | Danny L Harle | Sugary Pop Music Video By Kim Laughton | RANDOM ACTS

エトスとパトス―ASD・ADHD者の負う障害の正体

61PwF5ci9xL

価値を高める戦略、ブランディングの世界では、エトス(信頼・信用・人柄)パトス(共感・情熱・感情)という、古代ギリシア哲学の言葉がよく使われているようだ。アリストテレスの弁論術という本に載っている考え方で、エトスとパトス、そしてロゴス(論理)の3要素が、人に対する説得力を持たせるために必要という。 このエトスとパトス、発達障害当事者の抱える社会を生きる上での困難の一部分を表現しているようにも思う。

続きを読む »