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TAG: 環境

終わりゆくサービスを見つめながら

 
外出自粛生活も2年と4ヶ月ほどになり、すっかり家から出ずに生活できるようになってしまった。最近はまた感染者も増えてきて、住んでいる地域で予約が始まり次第、ワクチンを早く打ちに行きたいと思っている。そんな折、便利な生活を支えてくれていたあのセンサリーなサービスがもうすぐ終わるという。

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画像出典元:Amazon https://www.amazon.co.jp/

Amazonパントリー
規定の箱(パントリーボックス)に収まる範囲でいろいろな商品を詰めて注文できるサービス。

通販といえば送料がかかるので、同じ商品の箱買いになりがちなところを、一回につきバラで色々と買えるところが魅力だ。家から近所のスーパーは微妙な距離にあるので、疲れやすい私はかさばる日用品を買うのに以前から利用していた。生鮮食品などは選べないが、レトルトカレーなどはもちろん、うまく選べば水で戻す野菜や豆、ささみ肉、豆腐といったパック品を揃えられる。もちろんカップラーメンやお菓子などの食品も買える。ほぼネットスーパーのように利用できて、このところは重宝していた。

また、Amazonは「置き配」ができるので、受け取るためにコミュニケーションをしなくて良いところが、人と話すのが苦手な私としては大変気に入っている。ドア前に置かれている箱を家の中に運び込む度、PS4ゲーム『DEATH STRANDING』の世界の住人になったような感覚を味わっている。BT(DEATH STRANDINGにおける正体不明の怪物)ならぬウィルスから逃れる生活は、ポーター(配送人)達の助けなくして成立しない。

このお知らせを目にしたとき、「ああ、コロナ禍で、わたしのような使い方をする人が増えて、負担をかけてしまったのかもしれない」と思った。道具しかり、サービスしかり、想定された使い方をしないために使えなくなってしまう、というのは、便利なものほどありがちなことのひとつだ。

サービス終了まであと1ヶ月弱。これに代わるサービスが見つけられるだろうか、というのが、小さいようで重要な生活の悩みである。
 
 
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ドバイ万博、センサリー・アクセシブル・イベントに認定される

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画像出典元:ザ・ナショナル https://www.thenationalnews.com/

センサリーデザイン最前線 第59回

 
ライターの青いロクです。本日は4月2日の世界自閉症啓発デーに合わせて発表された、海外のニュースをご紹介します。

ドバイ国際博覧会(Expo 2020 Dubai、ドバイ万博、公式サイトでの、発達障害者を含む障害者への配慮についてのニュースです。
アラブ首長国連邦(UAE)のドバイにて、2021年10月に開催予定の当博覧会。当初は2020年10月からを予定していましたが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大のため1年延期されたものの、呼称はExpo 2020 Dubaiのままとされています。

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トラブルメーカー、かく考える

 
こんにちは。テントントメンバーのTEHOです。今日は最近私が引き起こした職場でのトラブルについて、お話ししてみたいと思います。
 
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センサリーエッセー:匂いを感じるのが辛いときがある

 
8月の終わりのとても暑い日に、私は引越しをした。環境の変化を一番如実に感じるのは、私にとっては匂いの変化だ。内見で初めて部屋に入ったとき、ユニットバスの扉を開けたとき、居室の押し入れを開けたとき。それぞれ違う、未経験の匂いを嗅いだときの心持ちとしては、新しい環境に住まいを移すワクワクした気持ちよりも、不安感の方が勝っていた。

ASD+ADD傾向のある私は、匂いが原因で食べられないものがあるなど、以前から自分の嗅覚の特性に気づいてはいたが、今回は引越し作業の焦燥感もあって、文字通りに「臭いものに蓋」をしてしまっていたと思う。

少しでも嗅ぎなれた感じに近付けたくて、入居開始日にドラッグストアで消臭剤を探した。6つくらいの中から、一番無難な気がした「石けんの香り」を選んで、部屋に放置してその日は帰った。一週間後、旧居の退去日。荷物を積んだ車で乗り付けて、新居のドアを開けた瞬間に、なんだか小綺麗な公衆トイレのような香りがした。消臭剤選びに失敗したと思った。
 
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ADHDと在宅ワーク―快適に働く方法

職場環境を家庭に再現すること

画像出典元:CNN Health News https://edition.cnn.com/health/

 
皆さんこんにちは、ライターのmarfです。非常事態宣言から今日に至るまで、わたしの職場では従業員が自宅で仕事をするようになりました。

本日の更新ではCNN Health News、ADHD(注意欠陥多動性障害)をもつ当事者向けの在宅ワークをよりよくするアドバイス記事の翻訳と共に、自分の在宅ワークの体験と重ねつつ、読んで感じたことを書いてみたいと思います。

If you have ADHD, here’s how to manage working from home(ADHDをお持ちの方、在宅ワークの管理方法はこちらです)
文:クリステン・ロジャース(CNN)
イラスト:リア・アブカヤン(CNN)
2020年5月29日
より、部分引用して翻訳

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新型コロナウイルス(COVID-19)と企業。自閉症当事者のための、新たなビジネススタイルの萌芽

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画像出典元:CNBC https://www.cnbc.com/

センサリーデザイン最前線 第57回

TENTONTOメンバーのYutaniです。新型コロナウイルスの流行により急速に社会が変容する中、アメリカのある企業はこの状況をチャンスと捉え、自閉症スペクトラム障害を持つ人達をパートナーとする新しいビジネス形態の定着にチャレンジしてます。今日は、アメリカのニュースメディアCNBCの記事より、ITコンサルティング企業・Auticonによる試みについて紹介します。

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川崎 バスケのホームゲーム会場でイヤーマフ無料貸出開始

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画像出典元:川崎ブレイブサンダース公式twitter
https://twitter.com/brave_thunders/

編集長のmarfです。本日より、バスケットボールチーム川崎ブレイブサンダースのホームゲーム会場(川崎市とどろきアリーナ)にて、イヤーマフ(防音保護具)の無料貸出サービスが始まりました。

貸し出されるのは以前TENTONTOでも聴覚過敏者向けのスタイリッシュなデザインとしてご紹介したJVCケンウッドのイヤーマフEP-EM70です。

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画像出典元:株式会社JVCケンウッド https://www3.jvckenwood.com/

 
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誰もが使いやすいデザインのために、私達ができること。

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画像出典元:西日本新聞 https://www.nishinippon.co.jp/

先日再開業した、熊本の大規模バスターミナル。床面の点字ブロックを赤・青・緑と塗り分け、行先ごとに案内している。このデザインに地元の盲学校PTAが、弱視者に判別しやすいよう点字ブロックを一般的な黄色にするよう批判。運営側は、地元の障害者や家族の集まりとの話し合いを重ねて決まったものなので、即座に点字ブロックを黄色に変更するつもりはない、と回答。

ライターの青いロクです。年が明けてしまいましたが、昨年末にこのようなニュースがありました。この一件について、個人的に思ったことを書いてみたいと思います。

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北海道のドラッグストアチェーン、「クワイエットアワー」を実施

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画像出典元:ツルハドラッグ https://www.tsuruha.co.jp/

川崎市のイオンスタイル新百合ヶ丘での実施に続き、感覚過敏をもつ発達障害当事者のための「クワイエットアワー」が札幌市内のツルハドラッグでも試験的に実施されることが発表されました。

ツルハが「クワイエットアワー」試験 店内の音量下げ照明暗く 感覚過敏の客に配慮

クワイエットアワーとは、聴覚、視覚の過敏さをもつ発達障害者が安心して施設内で過ごせるよう、特定の曜日や時間帯で施設内の音や光を低減するという取り組みのこと。一例として、英国の大手スーパーマーケット・モリソンズでは、全ての店舗で毎週土曜日の朝、クワイエットアワーを実施しています。川崎市のイオンスタイル新百合ヶ丘での事例については、TENTONTOでも独自に取材を行いました(→【レポート】川崎市 商業施設における「クワイエットアワー」の取り組み(イオンスタイル新百合ヶ丘))。

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聴覚過敏者向けのスタイリッシュなイヤーマフ JVC EP-EM70 を調査・比較

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画像出典元:株式会社JVCケンウッド https://www3.jvckenwood.com/

センサリーデザイン最前線 第54回

ライターの青いロクです。日本の音響機器メーカーJVCケンウッドが、自社初めてとなるイヤーマフ EP-EM70を2019年10月上旬に発売しました。このスタイリッシュな製品、すでに量販店や通販サイトで販売が始まっていまして、今回はこの製品についてご紹介してみたいと思います。

JVC EP-EM70は、既存の、飛行機の整備場や工場といった場面で使われることを主に想定したイヤーマフのイメージを一新する、ヘッドホンライクなデザインを採用したものだそうです。いくつかの家電量販店にはイヤーマフ売り場もあるので、試してから買える貴重な製品となりうると思い、詳しく調べたくなりました。

また下記ニュースリリースの文章が、さらに興味を引きました。

高い遮音性能により、日常のさまざまなシーンで不快音や騒音から耳を守るイヤーマフ「EP-EM70」を発売 ~イヤーマフのイメージを一新する、ヘッドホンライクなデザインを採用~

近年、一般的には不快ではない音を不快に感じたり、音が聞こえすぎるために日常生活に支障があるという方々や、周囲の騒音を気にせずに勉強や仕事に集中したい、落ち着いて過ごしたいと考える方々などから、充電が不要で装着するだけで周囲の不快音や騒音を低減する防音保護具(イヤーマフ)へのニーズが高まっています。

(中略)

当社は本機を、聴覚過敏により困難を抱える方々の生活の質向上や、日常の周囲音に悩む方々のストレス軽減をサポートする商品として提案します。

と、このようにJVC EP-EM70は、聴覚過敏の当事者向けであることを明らかにしている製品になります。

あくまで一般向けの製品として販売され、感覚過敏の当事者にも愛用される製品というのは、世の中にいくらかあります。イヤーマフの多くも、工場のような現場が第一に想定する環境です。とはいえ言ってしまえば出来合いのものを仕方なく使う、そんな境遇から脱せられるような気がしてささやかな自尊心をくすぐられてしまったせいか、この意欲的な製品について、ぜひ詳しく知りたいと思ったのでした。

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