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マインクラフトで世界一になった話 ~発達障害と「やりこみ」の歓び~

2022_01_04

画像出典元:speedrun.com https://www.speedrun.com/

テントントの僕らの目が輝くもの 第20回

皆さんには、自分にとって居心地のいい、大好きな場所はありますでしょうか?
誰しもに最も必要なのは、安息できる場所があること。多くの人との感覚の違いやズレによって疲弊しやすい、発達障害をもつ当事者なら尚更、必要なのがそういった場所です。
TENTONTOではそういった、個人個人の感覚にとって居心地のいい場所をデザインする、センサリーデザインという欧米で生まれた考え方を広めるため、活動してきています。

さて、ASD(自閉症スペクトラム障害)とADHD(注意欠陥多動性障害)をもつ私にとって居心地のいい場所といえば、自分でアレコレ試して心地良さを作った自室はもちろんですが、もっと頭の中のイメージの世界まで含めるのなら、ゲーム『マインクラフト』の中に広がる自動生成された自然の景色が思い浮かびます。
これまでもTENTONTOでは、発達障害とマインクラフトの癒しについて記事にて紹介してきました。大学院の学生さんに、この類まれなゲームに関する研究の協力をしたこともあります。もしプレイされたことのない当事者の方がいれば、一度は触れていただきたいゲームです。
 
 
 
2021年大晦日、今年もうまくメンバーと一緒にやれる記事企画を組めなかった私は、せめても年末年始の時間を使って、ひとりで企画をやることにしました。その名も、マインクラフトで世界一をめざしてみよう!企画。
好きこそものの上手なれ、これだけ色々なところでマインクラフトの良さを伝えてきて、世界一このゲームの癒しの良さをわかっているつもりの私が、実際に世界一のゲームプレイを目指すことで、なにかマインクラフトに触れてもらうきっかけにならないか、と考えました。
さっそく調べると、マインクラフトRTA(リアルタイムアタック)という遊び方を見つけました。

RTAというのは、現実の時間を基準に、どれだけはやくゲームをクリアできるかを競う人気の遊び方です。といっても、ひたすらに広がる1mのブロックを使って、なんでも好きにできるマインクラフトは、決まった遊び方のあるゲームではないので、クリアの基準を色々とRTAを楽しむファンたちが決めて、参加したいルールで遊ぶ文化があります。
今回挑戦してみたのは、2019年に公開された、誰でもインターネットで無料でプレイできる『マインクラフトクラシック』。その中の『オールボーダーズ(ノーマル)』という競技種目になります。きのうに記録を出すことができ、きょう、SPEEDRUN.COMにて記録が承認されて、世界一となることができましたので、どんな体験だったのか記事にしてみたいと思います。

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ワイヤレスイヤホン型耳栓 Victor EP-S433を比較・使用レビュー

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Victor EP-S433(筆者撮影)

センサリーデザイン最前線 第65回

ライターの青いロクです。12月上旬に、JVCケンウッドより、ワイヤレスイヤホン型の耳栓「Victor EP-S433」が発売されました。(EP-S433 ニュースリリース|公式HP)2019年に紹介した同社のイヤーマフ「JVC EP-EM70」と同様に、聴覚過敏に悩む人も対象にしているそうです。この耳栓について調べたこと、購入して試してみた感想を紹介します。

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ドバイ万博の「クワイエットルーム」、感覚過敏な人の休憩室

センサリーデザイン最前線 第63回

ライターの青いロクです。最新のセンサリーデザインの話題をお届けするコーナー、センサリーデザイン最前線。10月から2022年3月末まで開催しているドバイ万博に設置されている、感覚に過敏な人向けの休憩室「クワイエットルーム」についての続報です。

 
以前、ドバイ万博、センサリー・アクセシブル・イベントに認定されるという記事でご紹介したとおり、10月から2022年3月末まで、アラブ首長国連邦(UAE)ドバイにて、Expo 2020 Dubai(ドバイ万博)が開催されています。(参考:2020年 ドバイ国際博覧会|経済産業省
この万博は、感覚の問題による利用しづらさに配慮している「センサリー・アクセシブル・イベント」として認定を受けており、今回ピックアップする”quiet room”はその展示のうちのひとつになります。

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エッセー:センサリー・デザイナイズされた「息づく生活」を目指して

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画像出典元:株式会社ドリーム https://mydream.co.jp/

これまでTENTONTOでの活動を通して、色々な発達障害の当事者たちと会ってきた。様々な一次症状、二次症状の現れ、得意不得意の分野の違いはあれど、共通しているところ、同じく当事者で自分と通ずるところについて、自分なりに考えてきた。それは発達障害者への支援という捉えづらい存在について、自分の頭で整理したかったからでもあり、それは同時に当事者研究、つまり自分について知ることでもあった。

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Yogiboプロデュースによる「センサリールーム」ノエビアスタジアム神戸に常設

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提供:PR TIMES https://prtimes.jp/

センサリーデザイン最前線 第62回

TENTONTO編集長のmarfです。最新のセンサリーデザインの話題をお届けするコーナー、センサリーデザイン最前線。今回は第60回で取り上げた日本国内でのセンサリールーム展開の続報がありましたので、記事にてご紹介したいと思います。
 
 
Yogiboプロデュースによる「センサリールーム」 Yogibo WEリーグが行われる「ノエビアスタジアム神戸」に常設 – PR TIMES

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東京藝大、橋本和幸教授らチームによる「センサリールームプロジェクト」に感じた未来

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画像出典元:橋本和幸 | 藝大デザイン科第9研究室 https://www.hashimomoh.com/

センサリーデザイン最前線 第61回

 
TENTONTO代表のユミズです。

本日のセンサリーデザイン最前線は、前回の記事に引き続き日本におけるセンサリーデザインの動向です。東京藝術大学、橋本和幸教授らチームによる「障害者の困難な体験環境をアートで解決するセンサリールームプロジェクト」展示の紹介になります。展示は本日が最終日。感染拡大に伴い、最後まで取材で訪れることが叶いませんでしたが、ついに日本で、センサリーデザインの学究の試みがこのように進み始めている意義はとても大きいことです。
 
 
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画像出典元:橋本和幸 | 藝大デザイン科第9研究室 https://www.hashimomoh.com/

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退屈、なだけじゃない、ASD & ADHDにとっての「システム」の話。~チェス編~

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画像出典元:Lichess.org https://lichess.org/

代表のユミズです。これは私の愛用の「グルゲニゼシステム」の図です。今日は趣味のチェスの話を通して、発達障害(自閉症スペクトラム)当事者の好むシステムというものと、センサリーデザインについて語ってみたいと思います。
 
 

発達障害(自閉症スペクトラム)の当事者はシステム化指数(SQ)が高いとされているが、私もシステムが大好きだ。システムへの愛好は、メモリ(作動記憶)が小さく、見落としを多発させやすいASD+ADHDの私の身を非常に助ける。

電車しかり、自然科学しかり、コンピュータしかり、シミュレーションゲームしかり。いつも自分を助けてくれるから、決まった動きをするものの構造に興味が湧くし、研究し、自分がシステムを作ることにも熱心になれる、というものだ。

さて、頭脳スポーツ、チェスの序盤定跡(オープニング)にも、システムと呼ばれる種類のものがある。細かい相手の応手を覚えていなくても、ほとんど同じ陣形を組めるタイプの定跡だ。面白い話題なので、チェスをやったことがない人にも伝わるよううまく言葉を選んで書きたい。

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ビーズソファYogibo、日本でのセンサリールームプロジェクトを始動

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提供:PR TIMES https://prtimes.jp/

センサリーデザイン最前線 第60回

TENTONTO編集長のmarfです。最新のセンサリーデザインの話題をお届けするコーナー、センサリーデザイン最前線。2015年より特集してきたこのコーナーですが、6年経って60回目になる本日の記事。いよいよここ日本で、企業による本格的なセンサリールームのプロジェクトがはじまりましたので、記事にてご紹介します。
 
 
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000055.000018338.html

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ドバイ万博、センサリー・アクセシブル・イベントに認定される

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画像出典元:ザ・ナショナル https://www.thenationalnews.com/

センサリーデザイン最前線 第59回

 
ライターの青いロクです。本日は4月2日の世界自閉症啓発デーに合わせて発表された、海外のニュースをご紹介します。

ドバイ国際博覧会(Expo 2020 Dubai、ドバイ万博、公式サイトでの、発達障害者を含む障害者への配慮についてのニュースです。
アラブ首長国連邦(UAE)のドバイにて、2021年10月に開催予定の当博覧会。当初は2020年10月からを予定していましたが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大のため1年延期されたものの、呼称はExpo 2020 Dubaiのままとされています。

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センサリーを聴く:Jon Hopkins – Wintergreen

Jon Hopkins

Jon Hopkins『Wintergreen』

発達障害当事者にとってのセンサリー、つまり感覚的に落ち着くものについて考えるとき、「惚れるような」というイメージが、それをうまく捉えるのに役立つかもしれない。
見惚れる、聴き惚れるような、おおらかに調和した要素をもつ美しさによって、さっぱりしても清らかでもない、世の中の数多のものに傷つきやすい当事者の心は安らぐ。
だからこそ、繊細できめの細かい、「惚れるような」調和をひときわ必要としているのが、多くの発達障害当事者たちなのだと思う。

 
 
ユミズタキス

 
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